YouTubeチャンネルはこちら

僕が救急隊の時に行った「自殺」現場の話

今日の早朝に緊急地震速報で叩き起こされました。
報道ヘリなのか、ヘリコプターの音がブンブン煩くて良く眠れなかった(´・ω・`)

昨日、夜寝る時に救急隊時代の「ある現場」を思い出しました。
フラッシュバックとか、そういう話では一切無いですが、書いていきます。

たまに知らない人が居るので書きますが、、、。
救急隊員は基本的に全員消防職員です。そして、救急車は消防署にあります。
(※一部例外もある:日本救急システムなど)

消防職員の中で救急標準課程or救急救命士の資格を持っている人が救急車に乗ります。
救急隊は24時間の勤務時間内に、何件も違う現場に出動します。

忙しい救急隊だと、勤務終わりに昨日の出動を思い出そうとしても、1件目から思い出せない事もあります。心肺停止や高エネルギー外傷の現場以外は、正直そんな印象に残りません。

ここからが本題なのですが、少しぼやかして書きます。随分前の話です。

消防で勤務していたとき、1件の出場指令が入りました。

予告指令「救急入電中・・・・」
(数秒経過しても本指令来ない。)

スピーカーから、予告指令の後に流れる本指令が、なかなか流れてきませんでした。
予告指令とは、管轄内で119番通報が入ると、これから出動する可能性がある事を、予告するものです。予告指令が流れた後に、本指令が流れて出動が確定します。

予告指令の後に、本指令までの間が長いと、大体はCPA(心肺停止)or何かしらの重大事案です。
通報者が慌てていたり、指令員が情報を聴取する時間があるからです。

本指令「救急 PA連携 ・・・・・」

PA連携だったので、間違いなく重症事案だと思い、指令書を取りに行くとPC画面に「縊頸」とありました。要するに首吊です。

PA連携なので、消防隊と救急隊が同時に出動します。
ポンプ車のP、アンビュランス(救急車)のAを取って、PA連携と言います。

心肺停止の現場では、やることが多く救急隊3人だと人手が足りません。
消防隊に搬送支援をしてもらうことで、救急隊は処置に専念する事が出来ます。

僕は救急車の後部に乗り込んで、
心電図モニターの電源を入れ、酸素のバルブを開けて、感染防止衣に着替えます。
揺れる車内で、バックボードをストレッチャーに載せ、呼吸管理資機材、AED、吸引器を準備。

救急車のモニターで、指令内容の詳細を再度見ると「女性の縊頸、家族通報」という内容でした。
現場から直近の救命センターまで何分かかるか、特定行為は現場でやるのか、搬送中にやるのか。

頭の中でシミュレーションして、隊長と活動方針を擦り合わせていきます。
心肺停止の現場に向かう救急車内の空気は、少し独特な雰囲気を持っているように思います。

救急車が現場近くになると、男性が誘導してくれました。消防隊も同着。

僕は救急車のスライドドアから降りて、
吸引器を隊長に手渡し、呼吸管理資機材とAEDを持って家に入りました。

室内に入ると、既に女性は床に下ろされていていました。
案内してくれた男性は、女性の旦那さんで、奥さんが首吊しているのを発見して救急要請。

奥さんの頸部には索条痕が残っていて、下顎の硬直が出ていました。下顎の硬直は、早期死体現象です。既に体温も感じられず、波形は心静止、呼吸もなく、瞳孔散大。

本来であれば不搬送にするところです。室内には中学生から高校生くらいの子供さんが居ました。
旦那さんに、現在の状態からの救命は厳しいことを伝えました。

旦那さんからの返答は「なんとか病院へ搬送出来ないか?」という事でした。
目元は赤く、今にも涙が出てきそうな目をしていました。

こういった時の判断は、非常に微妙な部分もあります。
杓子定規に判断すると、不搬送で警察に引き継いで終わりです。

でも、旦那さんの搬送希望、子供も側に居る状況だったので、
僕は救急隊長に相談して、救命センターに収容依頼の電話を掛けました。

救命センターは本来、救命の見込みが有る人を受け入れます。
受け入れられる患者数が限られているので、今回の状況は収容を断られる可能性もあります。

こういう時にする収容依頼は、本来であれば不搬送なところ、どうしても現場の救急隊としては搬送したいという事をストレートに伝えます。旦那さんの希望、子供も見ている状況で、最善を尽くしたい事を伝えると、大体は救急医から受け入れOKを貰えることが多いです。

この事案も病院からの回答は「受け入れOKです。何分で来れますか?」という事でした。奥さんを救急車内に収容、旦那さんを救急車の後部、子供は救急車の助手席に乗ってもらいました。

子供を救急車の助手席に乗せたのは、お母さんがCPRされている姿を、見せると傷になる可能性もあると判断したからです。通常は同乗者を救急車の後部に乗せて搬送します。

車内では、僕がCPRしながら救命センターに向かいました。
病着後、医師が死亡確認をして救急隊としての業務は終了しました。

この現場は、消防を退職した今でも、出場した家の場所まで覚えています。
あのとき、居合わせた子供さんは元気にしているのだろうか?その事を今でも気にしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT US
安田 雄輝
「YouTubeコンサル・動画制作」をしています。/※経歴:消防(救急救命士)➡在宅診療所➡献血供給事業団➡YouTubeクリエイター/大人からピアノを始めチャンネル登録者1000人/夢は子供がやりたい事を経験出来る場所を沢山つくること