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血液運搬車の運転手になって、緊急走行が出来る様になるまで【求人枠少ない】

緊急車両の中でも、比較的珍しい部類に入る「血液運搬車」について書いていきます。このブログで前に書いた「東京で輸血用血液を運ぶ緊急車両運転手をしてた話」も併せて読んで頂ければと思います。

そもそも血液運搬車の運転手になるには、どうしたら良いかというと、僕は東京だったので「公益財団法人献血供給事業団」の中途採用を受けました。当時はDODAで求人を募集していましたが、基本的には新卒採用で中途採用自体あまり無いです。僕が採用された当時は、新卒が辞めたり、定年などで人員の変化があって、一時的に中途採用が復活して、滑り込んだ感じでした。

なぜ中途採用が少ないかというと、そもそも人がそんなに辞めないです。東京以外だと赤十字の採用だと思うのですが、赤十字の場合は正社員スタートではなく、バイトや契約からステップアップが基本ですよね。でも、東京だと赤色灯が付いている血液運搬車(献血供給車)の運転手は、公益財団法人献血供給事業団の職員としての採用で全員正社員雇用になります。色々歴史的な背景があって、東京で輸血用血液を輸送しているのは、赤十字ではなく公益財団法人献血供給事業団なのです。

給与や福利厚生は、国家公務員に準じる形でしっかりしています。毎年必ず昇給しますし、賞与もしっかり出ます。年収も2年目で540万円僕は貰っていました。要するに一度入ってしまえば、定年まで安泰な会社なのです。ただ、昔よりも給与は下がっていて、例えば緊急走行1件につきいくらなどの手当はかなり前に廃止になっています。

僕が採用試験を受けた時に、記憶に残る限り3次試験まであったと思います。中途採用で学力はそれほど重視されている感じはありませんでしたが、ある程度の体力的なタフさと、運転に対する意識が求められると思います。緊急車両なので、事故を起こす人は当然避けたいのでしょう。PCを使用し適性試験の様なテストを受けました。

血液運搬車の運転手として採用されると

まず血液運搬車の運転手と言っても、ただ車の運転をするだけが仕事ではありません。輸血用の血液製剤は種類ごとに、温度や梱包の仕方が違うので、それを覚えなくてはなりません。運転の訓練もやりながら、血液製剤の取り扱いの勉強もしていきます。赤血球、血小板、FFP基本的にはこの3製剤ですが、たまに合成血などもありました。あまり知られて無いかもしれませんが、輸血用の血液は、緊急時だけでなく、毎日医療機関に配達されています。

運転についてですが、将来独り立ちして乗る車には、赤色灯が車の屋根に付いているので、当然の事ながら安全運転が求められます。最初は赤色灯が無い普通車で訓練をしていきます。具体的には、各方面ごとにコースがあるので、病院を回る順番などがある程度決まってます。研修期間は普通走行で、その基本的なコースを覚えていくことになります。コースも複数あるので、最初はコース毎に道を覚えるのが大変です。普通に走るのではなく、プロの運転手として、どの車線を走るのか、車線取りまで細かく指導を受けます。また、渋滞した場合の回避ルートも覚える必要があります。あとは無線が付いているので、無線対応なども学んでいきます。

基本的に新人の時は、先輩が同乗するのでカーナビは使えません。訓練が終わって独り立ちすれば使い放題と言えば使い放題ですが、独り立ちする頃にはナビ無しで、管轄エリアは走れるようになってます。

普通走行で各コースを覚えて、製剤の取扱いなども問題無いと偉い人からOKを貰うと、普通車を一人で運転して、血液を医療機関に供給します。何ヶ月か普通車でトラブル無く経過すると、緊急走行の訓練が始まります。

緊急走行訓練

血液運搬車の緊急走行は1人でやります。2人居れば楽ですが、人件費の予算に余裕は無いでしょう。安全確認、マイク広報、無線対応まで全部1人です。

緊急走行訓練は、まず最初に先輩の緊急走行を見るために、助手席に横乗りを最低20回以上やります。先輩の緊急走行をビデオカメラで録画して、あとで先輩が動画を見せながら、安全確認や走行する車線の選び方などを細かく解説してくれます。これを最低20回以上やって、今度は自分が実際に緊急走行をしていきます。

先輩は助手席でマイク広報を担当して安全管理をします。必要あれば、走行する車線のアドバイスを適宜行っていきます。この辺りの研修体制は徹底しているので、緊急走行訓練でトラブルが発生する可能性は、ほとんど無いです。研修ではありますが、医療機関から緊急の輸血発注は本物なので、確実に届けなくてはならないからです。

実際に僕が訓練で緊急走行をやった回数は、38とか40回手前だったと思います。緊急走行訓練の最後に、所属している部署のトップが緊急走行に同乗する「検定」が行われます。この検定ですが、採点して合否を出すという意味よりも、今後1人で緊急走行をするために、どういう心構えが必要になるかなど、最終的な仕上げの指導をトップから受けた印象です。もちろん失敗すれば「検定」やり直しになりますが、「検定」を受ける段階で、これまで指導して貰った先輩から、合格の判定が出ているので、落ち着いて普段通りやれば落ちないと思います。検定に合格すると、晴れて独り立ちとなり、血液の配送中は気楽な時間を過ごせる訳です。

緊急走行出来るようになってしばらくすると、警視庁で緊急車両の運転手向けの訓練に行くことになります。急制動、信号回避、一本橋、スラロームなど、特別なコースでまた学んだりもします。茨城にも緊急車両向けに、泊まりで訓練所があります。そこの訓練にも職員を出してますが、僕はそこに行く前に退職しました。

実際に緊急走行する機会は、毎日ではありませんが、それなりの頻度であります。これは僕が東京に居たからかもしれません。地方だと緊急走行どれくらいあるのかわかりません。という訳でざっくりと血液運搬車の運転手に採用されてから、緊急走行するまでの過程を書きました。文章にすると短いですが、最短で半年は養成に時間がかかります。細かく書くと訓練内容は他にもありますが、切りが無いので割愛させて下さい。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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