「音楽やピアノのレッスンは情操教育に良い。」
これは、昔から言われていることですね。
でも、実際、「情操教育って何ですか?」と訊かれた時、明確な答えって出せますか?
何かフワッとしたイメージだけで、これ!という答えが出しづらい話なのではないでしょうか。
もちろん、「これこそが正しい!」というような正解はないのかもしれません。
わざわざ答えを出す必要もないのかもしれません。
一般人であれば。
でも、これが「情操教育」を商品として売っているプロの教育家なんだとしたら話は別。やっぱり、お客様に提供する人間としてのポリシーは持っておくべきですし、これを伝えることで、一般の方々にもなにか考えるきっかけになれたらと思います。
感情の情に、操ると書く「情操」。
情操教育は、単に、喜怒哀楽の経験をさせる・・・だけのものではなさそうですね。
例えば、学校の音楽の中には「鑑賞」の授業というものがあります。
これは「観賞」とは違います。
観賞といった場合、ひとつの曲を聴いて「こんな風に感じました。」と、単に感想を述べるだけでOK。
ところが、鑑賞となったら、もう少し深いところまで、思考を働かせる必要があります。
もし、ひとつの曲を聴いて「楽しい」と感じたのであれば、曲の中のどんな要素が、自分の心情に働きかけて「楽しい」と感じることができたのかを、分析的に論じる。これが鑑賞です。
感情という本能的な部分だけではなく、理性的であり、分析的な要素が加わるのです。
僕はこれこそが、情操教育の真髄なのかもしれないと考えています。
どんな時に自分の心がどう動き、どんな衝動を起こし得るのか。
音楽という、ダイレクトに心にタッチする媒体を通して、自分の心のシステムをわかっていく学習。
そういった学習の積み重ねで、感情と理性のバランスをコントロールする術を磨いていけるもの。
音楽の情操教育には、そんな側面があるように思っています。