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緊急走行中に赤信号で一時停止するのは賛否両論ある話

以前、僕が東京で血液運搬車の運転手をしていた時の記事を書きました。

今回は緊急走行中に赤信号で一時停止する事は、賛否両論あったという事について書きます。
道路交通法の中で「緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない。」という事が書かれています。赤信号で一時停止までは書かれてないです。

緊急車両の乗務員になるためには、実技の他に学科試験が課せられている組織が多いです。消防でも機関員養成で筆記試験があります。血液運搬車の運転手でも筆記試験がありました。免許センター試験の様に、公式に問題がある訳では無いので、その組織や会社で独自に問題が作られています。緊急走行の基本となる教本は限られています。ちなみに、僕が消防時代に渡された緊急走行の教本と、血液運搬車の運転手時代に渡された教本は同じでした。緊急車両に乗務する人なら「他の交通に注意して徐行」という事は必ず知ってなければなりません。

徐行を具体的に言うと、一般的に10km以下とされています。凄く交通量の多い交差点で、安全確認に時間が掛かる場合を除いて、普通の小さい交差点で最初から最後まで10km以下で通過する緊急車両は見たこと無いです。10km以下って「ハエ」が止まれそうな速度ですからね。本当に終始10km以下で交差点通過してたら、遅すぎてクレーム来るレベルです。

緊急走行で赤信号の一時停止は組織の内部規定

道路交通法的には、緊急走行中に赤信号で一時停止までは求められてませんが、組織の内部規定で「赤信号では一時停止してから通過」とされている場合があります。YouTubeで東京消防庁の緊急走行を見ていると、多くの機関員が赤信号で一時停止をしています。走りを見ていると、内部規定で定められているのが予想できます。ちなみに血液運搬車の運転手をしていた時代は、内部規定で赤信号は一時停止と定められていました。

赤信号で一時停止するメリット

緊急走行中に赤信号で一時停止するメリットは、停止することで安全確認を確実にすることが出来ます。一般の方に向けて、安全確認を徹底して走っているアピールも出来ると思います。

赤信号で一時停止するデメリット

これが意外と厄介です。赤信号で一時停止すると、横断歩道側は青信号です。緊急車両のために一旦待ってくれていた歩行者が、緊急車両が歩行者に道を譲るために停止したと勘違いして、安全確認中に横断してくる場合があるのです。

一時停止したために勘違いした歩行者が2分50秒付近で横断しています。非常に危険なシーンです。

赤信号で一時停止することは、安全そうに見えますが、飛び出しによる事故の危険を助長しているという意見もあるのです。YouTubeで多く上がっている東京消防の緊急走行でも、一時停止している機関員と、一時停止していない機関員を見ることが出来ます。それぞれ運転手にも考えがあって、自己の責任で運転しているのだと僕は思っています。

会社や組織を守るためには、内部規定で「赤信号では一時停止」と決めた方が良いのでしょう。しかし、現場教育では「赤信号での一時停止が危険を招くこともある」と教えられます。僕は現役の頃に、徐行と一時停止両方試した事がありますが、一時停止して歩行者が出てきた経験もあります。赤信号で一時停止するのは、自分の経験上100%安全とは言えないと思ってます。

ジワリジワリと前に進んで、自分が先に行く意思を見せる走りも大事だと思います。赤信号で一時停止することが、一律に駄目と言う訳ではありません。運転手側の視点として、緊急走行中に赤信号で一時停止すると、危ない場面も出てくるというのは、同僚の間でも周知の事実でした。

緊急走行の難しさ

東京の道路を緊急走行するのは容易な事ではありません。交差点で車が多すぎて、先に進めなくてサイレンを切って、信号待ちすることは多々経験します。混雑する道路、時間帯などを知っていても、全部スムーズに行くことは少ないです。

渋滞にしびれを切らしたバイクや車が小判鮫の様に後ろを付いてくる事もあります。万が一、追突されたら運転手としては最悪の状況です。あくまで緊急走行は、目的地にたどり着く手段でしかありません。その緊急車両に乗っている人が、行った先で何らかの作業を行わないと人命や公益が失われるのです。小判鮫走行をするバイクや車はとても迷惑な存在でした。緊急走行中に限らず、普段から前後左右全部の方向しっかり注意して運転しているので、後ろから付いてきたらスグにわかります。余計な心配を緊急車両の運転手にさせないで欲しいものです。

緊急走行出来る車両が事故を起こすと、修理が終わるまで代車が無いです。普通車相手に事故を起こすのと状況が少し違います。限られた台数しか無いので、イメージしにくいと思いますが事故を起こすと社会的に損失ですよね。皆さんの為にある車が使えなくなるので。

緊急車両が来たら上手に譲れなくても良いので、存在に気づいている事をアピールして貰えると助かります。ブレーキを踏んで減速、ハザードを焚く動作があると、追い越す判断の参考になります。多少譲るのが下手で邪魔になっても、マイクで指示出したり出来るので、想定の範囲内です。譲るのに必死で、焦って事故しないでくださいね。皆さん安全運転でお過ごしください!

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

ABOUT US
安田 雄輝
「YouTubeコンサル・動画制作」をしています。/※経歴:消防(救急救命士)➡在宅診療所➡献血供給事業団➡YouTubeクリエイター/大人からピアノを始めチャンネル登録者1000人/夢は子供がやりたい事を経験出来る場所を沢山つくること