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血液運搬車の装備は何を車載している?元運転手が教えます

皆様こんにちは、安田雄輝です。

東京で輸血用血液を運ぶ緊急車両乗務員をしていました。
今回は「血液運搬車の装備」について書いていきます。

もう既に退職しているのに、記事を書くのは以前書いた記事のアクセスが好調だったからです。

上記の記事を深堀りします。
今回は、知られざる血液運搬車の装備のお話です。

血液運搬車の装備

輸血用の血液の運搬に使われている車は色々あります。
僕は、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダの緊急車両に乗車したことがあります。

結論として、装備品の主な内容としては
・無線
・サイレンアンプ
・血液バッグが破損したとき用のバイオハザード袋と手袋
・消火器、シートベルトカッター
・ヘルメット(乗務前に各個人で持ち込み)
・緊急出動命令書(手書き用)
・毎日乗務前に書く車両点検簿
・絆創膏等

などが車内にありました。

とはいえ、もう辞めてから忘れてる部分もあると思いますが、更に深く解説していきます。

車載無線機

これはもう絶対必要ですね。
災害があっても無線機は使えます。

ただ、元消防の僕が最初にびっくりしたのが、無線の呼び出し方が消防と真逆だったことです。

消防の場合は、
通信指令室「〇〇消防から、〇〇救急1」
〇〇救急1「〇〇救急1です、どうぞ」
まず自分を名乗って、通話したい相手を呼び出します

輸血の場合は、
通信指令室「〇〇1、(自分の部署名)です、どうぞ」
〇〇1「〇〇1です、どうぞ」
先に呼び出したい相手を呼称して、自分を名乗ります。

一番最初に無線を聞いた時に、どっちがどっちだか訳がわかりませんでした。
個人的には、自分を先に名乗って、呼び出し相手の順が無線が途切れても応答できると思います。

無線機はデジタル無線なので、傍受しようと思っても絶対無理です。

サイレンアンプ

これは緊急車両には必ず装備されています。輸血用の血液輸送には、普通車も使われます。普通車は新規採用者が乗ったり、緊急走行になる可能性が低い血液輸送に使われます。

サイレンはピーポーサイレンです。交差点進入時などは、マイクのボタンや車内のボタンでウーに変えられます。ハーモニックサイレンもあります。

サイレンの音色の切り替えは個人の裁量なのですが、サイレン鳴らし始める場所に制限がありました。地域住民との取り決めで、サイレン鳴らせない区間がありましたね。

サイレンの音がうるさいとかクレームはあるみたいです。僕は大通り以外の緊急走行は、すぐにハーモニックサイレンに切り替えてましたね。夜間もハーモニックサイレン中心でした。

マイクを使って注意喚起をやりすぎると、土地によってはうるさいとクレームくるみたいです。マイクは緊急走行の要件に無いから控えろとか、いろいろ文句言う人は言いたい放題できますね。

サイレンアンプと赤色灯が付いている車には、基本的に緊急走行の研修が修了した人が乗ってます。ただし、研修修了が近かったり、慣れる意味で緊急走行の内部資格無い人が乗るときもある。

緊急走行しなければ、法的に普通車と同じ扱いなので、運転するのは誰でも問題ないです。
そうでないと、メンテナンスなどで業者さんが修理工場へ回送できないですからね。

血液バッグが破損したとき用のバイオハザード袋と手袋

これ滅多に使いません。
輸血用の血液は、点滴の袋みたいなプラスチックで出来ています。

これに追加で包装用のビニールで包まれてる

赤血球と血小板がこんなイメージです。上記の画像は赤血球ですが、この画像の状態よりも、さらにビニールのパックに包まれてます。つまり、そんな簡単に漏れない様になってます。

ちなみに、血小板を冷蔵庫なんかに入れたら大変です。輸血用の血液製剤は、温度管理がそれぞれ違います。血小板は一定の温度に保たれた常温の室内で、振盪機の上で揺らされてます。

これが血小板です

では、簡単にもれないのに、一体何が漏れるのかと言うと。

FFP(新鮮凍結血漿)が破損する時があります。
なぜ破損するかというと、保管温度がマイナス20度以下の血液製剤なのでカチコチです。

上の画像にあるプラスチックのバッグを、レトルトカレーが入ってる様な箱に入れています。
それを輸送用のバッグに入れて、凍った状態で輸送します。

FFPの取り扱いには、本当に注意が必要です。
車の運転で急ブレーキや急発進をすると、FFPが破損してしまう可能性があります。

病院からFFPを解凍したときに、漏れてきたなどの報告を受けて、安全に回収するためにバイオハザード袋と手袋を使います。

消火器、シートベルトカッター

これはもう、大体の緊急車両に積んでますね。消防にもありました。
助手席の足元とかに、留めてあったりしますね。

ヘルメット

これは個人支給だったので、自分が乗る車に持っていきます。
車両チェンジがあるときに、載せ替えがちょっとめんどくさいデカイし。

緊急出動命令書(手書き用)

緊急走行の運用は厳密に行われていて、命令書が無いと出来ないです。事務所で待機してる時に、緊急出動行くなら印刷出来るのですが、途中から緊急に切り替わるときは手書きで書きます。

医療事故などで、裁判資料にもなる可能性があります。
しっかり正確に書いておかないと、後で大変なことになる書類です。

毎日乗務前に書く車両点検簿

これは特になんでもないのですが、日常点検したときの記録を書いておきます。車両の傷の位置なども写真と共に記録されていて、事故の形跡が無いかなど乗る前に必ずチェックします。

要するに、事故隠しなどを防ぐために、細かく記録を残しているのです。昨日は誰が運転したのか、何キロ走行したのかなど全部わかります。事務所のPCでは、通った道も記録されています。

絆創膏等

簡易的な救急キット積んでた気がします。
全然使わなかったので、正直覚えてないですが、絆創膏は使いましたね。

以上が主な装備品ですね。

消防に比べると、車載している機材はめちゃ少ないです。

車の装備よりも、輸送するバッグの方が特殊かもしれないですね。
次はそのバッグについて少し書いていきます。

車より血液を運ぶバッグが特殊

さっき、血液製剤は温度管理が厳密なのは軽くお話しました。
もう少し詳しく温度管理について書いていくと。

血液製剤の保管温度

赤血球:2〜6℃
血小板:20〜24℃
FFP(新鮮凍結血漿):マイナス20℃以下

保管温度が製剤によって全部バラバラですよね。
これ全部同じバッグに入れたら大変なことになります。

どうやって運ぶのかというと、答えは単純で製剤ごとに詰めるバッグが違います。

赤血球専用、血小板専用、FFP専用と使い分けています。
これによって、温度管理のミスが絶対に起こらないようなっています。

赤血球は保冷板を入れて、血小板は保温材を入れて、FFPはドライアイス入れてます。
ちゃんと温度を一定に保てる専用のバッグを使っているので、そこが一番特殊かもしれない。

血小板の梱包大変なところ

血液を輸送するときは、専用のバッグに詰めるのですが、血小板は少し特殊で「要振盪(しんとう)」させないで静止しておくと、成分が変化してしまいます。

なので、搬送に出発する少し前からバッグに準備するので、血小板をたくさん使う病院に行くときは準備が忙しいです。詰めるの沢山あるとわかってても、作業時間を前倒しできないんですよね。

少し早めに梱包して、振盪機でバッグごと揺らす方法もありますが、定時便準備でみんなが忙しく準備している時に、そんなスペースはありません。夜間とか暇な時間帯ならできます。

FFP(新鮮凍結血漿)の搬送気になるところ

FFPをマイナス20℃以下に保つのに、ドライアイス使っているのですが、渋滞とかにハマるとドライアイスの残量が大丈夫なのか気になります。

製剤の取扱いも慎重にやらないといけないし、ドライアイスのことも頭にあるので、梱包するときに病院の場所を見て、長距離だと少し多めに入れてたりしましたね。

運ぶ時に思うこと

小さい透析クリニックだと、数も少ないのですが、大きい病院になると半端じゃない血液量を持っていきます。とにかくバッグの個数は増えるし運ぶと重いです。もともと液体ですからね。

バッグを運ぶ用の台車を車に積んで持って行くのですが、そういう所に限ってなかなかエレベーター来ない。待ってると、次の病院に到着する目安時間に送れる可能性があって精神的に良くない。

というわけで、超重いバッグ持ちながら階段を上って僕は納品した事が何回かあります。これはおすすめしません。体力ないと無理、別に到着目安の時間に遅れても全然大丈夫なんですけどね。

病院のエレベーターってなんで来るのあんな遅いのかな、業務用も遅い。行きも帰りもエレベータ待ちして、来ても満員で乗れなかったり、虚しく過ぎ去る時間に「クソッ!」って思ってました。

無線でどんな連絡してるの

ここまで、車両と血液輸送について話しました。消防無線、警察無線が好きな人が多いですよね。輸血用血液の車両がどんな事を話しているのか、どこにも書かれてませんよね。

というわけで、気になる無線のことについて深堀りしていきましょう。

ザックリ無線について書いていくと

・緊急走行・時間指定への変更
・製剤の納品中止・納品単位変更
・向かう病院の順番変更
・道路情報の共有
・病院到着時間、事務所変える時間の確認

こんな感じですね。

緊急走行への変更

出発してから緊急走行に切り替える連絡は無線で来ます。どこの病院の何の製剤が緊急に変更になったのかを無線で伝えられるので、それを聞いて命令書を書いて緊急走行します。

時間指定などの無線もありますが、そんなに頻度多く無い。

製剤の納品中止・納品単位変更

病院から納品単位数の変更なども、無線で来ます。
伝票の修正があるので、内容を聞いて納品時に間違えないよう(仮)伝票にします。

向かう病院の順番変更

あまりないですが、緊急にするほどでもないけど、早く血液欲しい時でしょうか。
道路事情などの情報を得て、変更した方がスムーズという助言で来たりします。

道路情報の共有

交通事故、火災で消防車や警察がわんさか居ると渋滞します。あとは、国賓などが来た時に突然通行止めになったりするので、なにかあったら情報共有します。

渋滞しているの知ってたのに、無線しないと印象悪いですし、渋滞の無線連絡してたのに、渋滞している所に突っ込むとアホだと思われます。

あとはいつも渋滞しているところで、皆が周知の事実のことをわざわざ無線すると、いらねーよってなります。無線って意外と距離感難しいw

病院到着時間、事務所変える時間の確認

最後これなんですけど、緊急車両の台数が限られていて、どこかの病院で緊急で手術が始まると何度も緊急で発注が来ます。

行きは緊急走行で行けるのですが、帰りは普通走行です。1ヶ所の病院が細かく緊急で発注してると、待機している緊急車両が無くなって、通常の便を運べる車が居なくなります。

そうすると、何時に誰が帰れるのか、確認の無線が矢継ぎ早に飛んできます。そして、自分が1番最初に帰ってくると、またスグに輸送に出されて休憩無いパターンになります。

ベテランになると、それを見越して時間調整するとかしないとか…(怖い話ですねぇ。)

というわけで、今回はコレくらいにします。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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ABOUT US
安田 雄輝代表
当ブログは複数のライターで運営しています。大学で救急救命士取得→新卒で消防に就職→2年11ヶ月で退職→在宅診療所→輸血用血液輸送→フリーランス→自由な時間を得る。企業向けYouTube動画クリエイター兼ブロガーをしながら生きています。